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とにかく、オレが苦悩しているのはそういう現状である。
勘違いしないでいただきたいのだが、オレは別に嫌がってはいない。嬉しいし喜ばしいし、光栄だと思っている。
葛西のことはもちろん好きだ。芯が強く思いやりがあり、いつも柔和に接してくれる彼女の、どこを嫌いになれと言うのか。
ユーリも……まあ、好きである。間を置く程度の惑いはあれど、時たま見せられる女の子らしい側面には、いつも惹かれる。
こんな美少女たちに好感を持たれてげんなりするほど、オレはノーマルな感性を捨て去った覚えはない。
しかし、
(だから困ってんだよな……)
どちらも大切だからといって、双方と付き合うなんて論外だ。それは俗に二股という。
必然的にどちらかを選ばなければならないのだが……難しすぎる。期末試験の方がずっと簡単だった。
一方を選ぶということは、他方を選ばず、傷つけるということ。
何て残酷な二択問題だろう。
「……はぁ」
考えることに疲れ、ため息。ここ数日で急増した動作だ。
とりあえず目先の予定──イブに葛西と行く映画祭に集中しているが、ふとした瞬間に思い出すと、たちまち滅入ってしまう。
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