4.語らう日

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「ま、実際はそんな心配しちゃいねぇんだけどな」 カラカラと笑う慎士。いつの間にか、普段のいたずらっ子のような眼差しに戻っていた。 「考えすぎずに楽しめよ? イブに女の子とデートなんて、この先何回あるか分からねぇんだからさ」 デートか……改めてそういう単語で言われると、無性に気恥ずかしい。 とにかく、言うべきことは言わねば。 「ああ。あと、サンキュ」 「何に礼言ってんだよ」 感謝したら、また愉快げに笑われた。こいつの笑顔は、見てるこっちまで気持ちよくなる、不思議なものだ。 と、ここで気になったことが。 「そういや、慎士はクリスマスの予定とか──」 「アイム無神論者」 学問の神には頻繁に山勘的中を祈願してるだろ、お前。 まあ現代日本において、クリスマスを純粋にキリストの誕生日として祝ってる人が、どれほど居るかは知らんけど。 「とにかく、出かけんなら楽しむこった」 話を締めた慎士は、天井へ思い切り伸びる。 背が高くて腕も長い彼がすると、ちょっとした壁みたいになってしまう動作だ。何で運動部に入らなかったんだろう?
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