4.語らう日

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シグマらが襲撃してきた時、彼らがどう動いて応戦したのかも気になったが、それは置いとくとして。 「てか、どんなこと言ったか分からないのか?」 「ちょっと忘れちゃって……ね」 皇は気まずそうに、片方しかない目を逸らす。 マオは皇の負の感情を処理する際、彼の記憶まで一緒に吸収し、奪ってしまうことがあるらしい。 今回のマオの言動を覚えていないのも、恐らくそのせいだろう。 その記憶だけをピンポイントで消したのでは……なんて思いもしたけど、さすがに考えすぎか。 「聞いても答えてくれないし。アシャもマオもどうしちゃったんだろ……」 独り言のように呟く皇の顔に、笑顔はない。 マイナスの気持ちを表に出せない彼だが、目が暗い印象を受けるのは気のせいじゃないだろう。 「そんな心配すんなって。お前の友達に、従者だろ?」 「……うん」 慎士の励ますような一言にも、顔色を変えずに頷く。 皇の精神年齢は、高校生とは思えないほど幼い。とにかく純真だ。 いくら友達に従者とはいえ──否、そういう近しい人だからこそ。常にない態度に平然としていられないのだろう。
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