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暗い雰囲気が嫌になったらしく、慎士は努めて明るい声を出した。
「そう沈むなよ! もうすぐでクリスマスなんだしさ!」
ここまでクリスマスやイブのことを話題にする無神論者って、どうなんだろう?
「クリスマスかぁ……イブは貴族会に出なきゃいけないから、そんなに楽しみってわけでもないんだよねぇ」
ちょっと舌足らずな口調で、なかなかセレブなことを言いやがる。
「貴族会?」
「西洋式は、毎年クリスマスとお正月にあるの。『白』も『黒』も関係ないから、ユーリさんや宍戸君も来るんじゃないかな?」
今年はユーリさんは来ないと思うけどね、と続ける皇は、
「けっ」
オレの隣で、慎士が眉間に皺を寄せていることに気づいていない。いくら犬猿の仲だからって、ただの人名に反応しすぎだろ。
今に始まったことじゃないし、いちいち指摘しないけどな。
「じゃあ、その貴族会でそれとなく聞いてみたらどうだ? もちろん、周りに人が居ない時に」
黙ってしまった慎士に代わって提案してみる。我ながら思いつきも甚だしい。
皇もそう感じたのかどうかは知らんが、表情を明るくはしなかった。
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