4.語らう日

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オレがじっと見つめていたからか、宍戸は眉を寄せ、何とも迷惑そうな顔になった。 「まだ何か用かい?」 「……用ってほどでもねぇんだけどさ……」 "言いたいこと"とはちょっと違う。愚痴る宍戸に関して、思うところがあっただけだ。 「あんまり考えすぎるなよ?」 「……君にだけは言われたくないね」 若干の間の後、片頬を歪めて笑われた。 オレだからこそ言えるんだ、と言ってやりたかったが、その前に向こうから切り出される。 「"王"の条件とは何だと思う?」 「何の話だ」 突っぱねるオレを意に介さず、言葉を続ける宍戸。 「僕は、自分の道に迷うことのない屈強な精神だと考える。強大な力を持つ"王"も、己に迷った瞬間に愚民に成り下がるのさ」 彼は淡々と語りながら車に乗り込んでしまった。直後に開いた窓の向こうから、高圧的な目が覗く。 「では、今度こそ失礼するよ」 オレに反論の隙も与えず、リムジンは走り去る。別にいいけどさ。 「……迷わない、か」 呟きながら、理路整然と語っていた端正な顔を思い出す。 「迷うな」というメッセージだったのでは……なんて思ってしまうのは、ムシが良すぎるだろうか。 ────
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