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「いいの!?」
「ああ」
「ありがとう! すっごい嬉しい!」
今にも跳びはねそうな勢いで喜ぶ彼女を、少しオーバーだと思いつつも、そっと笑みを浮かべた。
そういえば、自分は桜田の前以外で笑ったことがない。
ふと思った直後、活気溢れる声が飛んでくる。
「じゃあさ、その……せっかくだし、ご飯も一緒に食べに行かない? 場所は私が探すから」
「構わない」
「ホント!?」
「ああ。楽しみ」
優しく微笑まれ、桜田は頬を紅潮させる。普段しない表情に、少年の心が芯から柔らかくほぐれていく。
ああ、と思う木宮の胸がいっぱいになる。
人は弱い。驚くほど矮小で、悲しいくらい脆弱で、ただひたすらに無力で──欠点を挙げれば切りがない。
その考えは今も変わらない。変わるはずがないと半ば以上に確信している。
しかし、それだけではないことも鋼介から学んだ。
人は寄り添い合うだけで強くなれる。優しく温かく生きられる。
共にある相手を見つけられた自分は幸福だと、木宮はしみじみ思って桜田を見つめる。
目が合った瞬間、恥ずかしそうにはにかむ様子が、この上なく可愛らしかった。
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