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「どれが良いかな~。鋼介だし、大人しめの方が良いよなぁ~」
「……なあ」
「何だ?」
「やっぱいいよ。オレそんな着飾るってガラじゃねぇし……」
渋るオレの顔面が、いたずらっ子を咎めるような視線を浴びる。
「若い内に洒落た格好しねぇでいつするんだよ。入れ歯のじいさんになってからドクロマークの革ジャン着る気か?」
ドクロの革ジャンって……もはや絶滅危惧種レベルだろ、それ。
「それはないけどさ……」
「じゃあごちゃごちゃ言わない。お前けっこうイケメンなんだから、オサレに行った方が得だぜ?」
言い終わるや否や、慎士は爪先を中心に華麗にターンし、収納スペースに向き直る。鼻歌混じりだ。
やれやれと息をつき、彼の後ろに立ったまま背後を見やった。
学生寮の部屋は広い。ダイニングキッチンと洋室が一つずつある他、風呂やトイレまで完備している。
ソファーなどの備え付けの家具も、なかなか上品で上等なものばかり。ネット環境も万全。至れり尽くせりとはこのことだ。
学生一人が過ごすには過ぎた物件だと、庶民的金銭感覚の持ち主であるオレは、週一ペースで思ってしまう。
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