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が、ここ──慎士の部屋はざっと見た感じ、とても住み心地が良いとは思えない。
まずソファーだが、今は脱ぎ捨てられた制服の置き場になっている。よれよれのネクタイが悲しい。
床に目を移せば、漫画やゲーム、アニメの雑誌に埋もれるように、教科書が何とか顔を出して呼吸していた。フローリングが見えん。
さらに顔の向きを変えても、服や菓子の空き箱で、足の踏み場は見つからないのだけど。
……この調子じゃ寝室も似たような感じだろう。引き戸は閉まっているが、想像に難くない。
「入った時から思ってたんだけどさ、片付けないのか?」
新種の感染病が発生しても不思議じゃない状態だ。遅くとも新年までには掃除させねば。
「まだ通れるじゃん」
「どこが?」
「足場くらい探せばあるだろ」
「……」
自室の足場って、探して見つけるものだったのか……。
いかんいかん。おかしいのは明らかに慎士の発言だ。素直に受け入れてんじゃないよ、オレ。
心の中で自身を叱咤し、意識を慎士の方に戻す。
冬物の上着を楽しそうに物色する彼は、少し前、突然オレの部屋にやって来たのだ。
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