4.語らう日

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葛西とのデートの予定を確認していたところ、唐突に現れた慎士は、オレが持ってる服を一通り見て言った。 「来い」 簡潔明解な強制連行である。 そんなこんなで始まった『ドキッ! 男だらけのコーディネート祭り!』(命名・慎士)に参加させられ、そろそろ三十分が経つ。 どうやら服を貸すつもりのようだが、オレに合うサイズの品が一体どれだけあるのかね。 大きな背中を呆然と眺めていると、 「なあ、鋼介」 慎士が表情を見せずに話しかけてきた。 「何だ?」 「お前に聞くことじゃねぇとは思うんだけどさ」 軽さの中に真剣さを覗かせる声が、耳に響く。 「何で……再婚するんだろ」 何を言われたのか、理解するのに時間がかかった。 理解できた後も、急にそんな話が出てきたことに、脳が芯から驚いたのだけど。 「……急にどうした?」 思ったことをそのまま尋ねる。 慎士は今の母さんと血が繋がっていない。仲が良いとも言えないらしく、極力話題にするのを避けていたはずなのに。 そういえば、皇や宍戸も変にナーバスになっていた。流行ってんのか?
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