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黙っているのも辛くなり、聞いてみる。
「お前は何でだと思ってんだ?」
「……分かんね」
答えてうつむく慎士の顔に、悲しさや寂しさがごちゃ混ぜになった心情が、わずかに滲み出る。
「でも……あの人は可哀想だと思う」
あの人?
オレに小首を傾げさせた疑問は、すぐに氷解した。
「構ってくれねぇ旦那と、ろくでもねぇ義理のガキだけの……狭っ苦しい檻ん中に、閉じ込められちまったんだから」
「……そっか」
ふっと頬が緩んだ。訝しげな視線が刺さるのは当然と言えよう。
「何だよ。今の笑うトコ?」
「悪ぃ。安心して、つい」
「……今のお前も分かんねぇわ、オレ」
ボリボリと髪を掻き回す彼に、心底良かったと思って笑みを向ける。
「興味ない」なんて返答が来たらどうしようと、少しだけ怖かった。
(ただ……分からないだけなんだよな)
慎士は、好きでも嫌いでもない無意味な存在としてではなく、不明瞭で不確定な人たちとして、両親を見ている。
興味があるなら、きっと大丈夫。
『理解したい』という欲求を捨てていなければ、分かり合うチャンスは生まれるはずだ。
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