6.聖夜にて 後

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激しさを増すばかりの『無』の嵐は、 「……」 葛西の表情がどんなものか、働き始めた脳が理解することで、勢力を弱めた。 恥ずかしさで赤くなりながらも、揺るがぬ決意に目を光らせる彼女は、オレをまっすぐ見上げている。 わずかな恐怖に、表情を少しだけ固くしていても、その強い眼差しだけは逸らさない。 「……」 数日前、慎士が言ってたことを思い出す。 『そうやって不安でも頑張ってる子が居るんだから、お前も最後まで真剣でいてくれよ?』 目を閉じ、そっと深呼吸。続いて、心の中で自身を叱咤した。 (……落ち着け、オレ) 葛西は今、戦ってる。オレが考えることを放棄してどうする。 平静を取り戻した頭で、思考活動を始めた。あらゆるものが交錯する心の中から、答えを探る。 ……不思議だ。考えれば考えるほど、秋の空のように澄んでいく。 心が、一つになっていく。 「……」 開眼しても、葛西の様子に変化はない。相変わらず真摯にこちらを見つめている。 どれほど時間が経ったかは分からないが、視線は頑なに外さない。 その決意に、応じるように。 オレは口を開き、喉で震えを取り除いた声を、返事として返す。 ────
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