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ゾリスはクールな性格だが、誰かと接する時は、頻繁に偽りのない笑顔を見せる。
だからこそユーリは、彼は他人を無条件に信頼できる、優しい人だと思っていたのだ。
数秒、衝撃に固まってから続きに目を通す。
『気がかりと書いたのは他でもない。お前が、友達と進んで関わろうとしないことだ』
「……」
なんとなく居心地が悪くなり、椅子に少し深く座り直した。
『ユーリは、友達と遊んでいるかい? 気が向くままに友達と笑い合ったことがあるかい?
些細なことでも盛り上がれる友達が、一人でも居るかい?
毎日顔を出してくれるのは嬉しいが、それだけが気になっていた。お前は誰かと遊んでいるようには見えないから』
質問の一つ一つが、心の表層に小刻みなジャブを加えてくる。ユーリの表情は、徐々に苦いものになっていく。
『誰かと関わると、困ることの方が多いかもしれないが、得られるのはかけがえのないものばかりだ。
キクさんたちを大事にするのも良いが、もっと友達と接してみるのも、悪くないと思うよ』
メッセージはここまで。後の部分は、結びの挨拶で締められていた。
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