6.聖夜にて 後

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──── 「……ごめん」 三文字。 その三文字で、オレは一体どれだけのものを傷つけたのだろう。 確実に言えるのは、二つ。 オレが傷つけたものは、一つだけじゃないということ。オレが傷つけたものは、本当は傷つけたくなかったはずのものだということ。 「葛西のことは好きだけど、その……"そういう"好きとは違うと言うか……」 ダメだ。どんな言葉を使おうと、残酷な結末は変わらない。 こんなに優しくて、純粋で、一途に想ってくれる女の子を、傷つけることしかできない自分が、恨めしくて怖かった。 それでも言わなければならない。オレの口で、オレの声で、意思を示さなければならない。 葛西はもう、自分の口と自分の声で、意思表示したのだから。 「……葛西とは友達として仲良くしたい、っていうのが、オレの答え」 かすかに吹く風に乗った返事は、槍のように彼女を貫いたことだろう。 「そう……」 ポツリと、小さな呟き。 それまでオレを見つめていた葛西は、一転して顔を伏せている。表情は窺えない。 漂う沈黙の中、オレの心拍数は密かに上がっていく。
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