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命令を受けたオセの返事は、
『血迷うな! 何度言わせるつもりだ!』
激昂で赤く染まっていた。牙が並ぶ口は、さらに続ける。
『理屈は分からんでもないが、今の貴様に時間を稼げるわけがあるまい! ならば、固まって動いた方が良いに決まっている!』
「一緒にちんたら走ってたら、それこそ逃げられねぇだろ!」
二足に戻ったとはいえ、オセはまだ魔力に余裕があるはずだ。全力で走れば、すぐ学生寮に着けるかもしれない。
が、今のままオレに合わせてたら、復活したタナトスに一網打尽にされるのは必至。
要するに……的を分散させなければ、三人揃ってお陀仏なのだ。
一歩も譲らないオレに、彼は固く歯を食い縛った後、
『貴様……死ぬぞ?』
悔しそうな声を、絞り出した。
召喚獣としての恥か、一生物としての屈辱か。うつむく頭からは、そんな哀愁が漂う。
「……」
分かっている。
オセがどんなに速く走ろうと。どんなに早く知らせようと。タナトスの侵食を抑えられるわけじゃない。
ここに残るという選択は、九割九分の確率で、死ぬという結末に結びつく。
分かっている。言われるまでもなく、理解できている。
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