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「ゾリスさんの最後の頼みは無視できない」?
ああ、そうさ。それはオレの本音だ。嘘偽りのない真実だ。
でも、それだけじゃない。
まったく情けない話だが、そんな漫画の主人公みたいなセリフを残して死に向かえるほど、オレは出来た人間じゃないからな。
いつだって自分のことで手一杯で、中途半端にしか人を助けられない、いっそ悲しいくらい小さな人間だよ。
でも……いや、だからこそ。こういう時は全力で助けたいんだ。
(だって……)
オレは、ユーリに生きてほしい。
オレの命を犠牲にしてでも守り抜きたい。たとえそれが、彼女を苦しめることになっても。
オレは、ユーリに生きてほしい。
(ホント……嫌になるな)
ああだこうだと美辞麗句を並べ立てて、結局は自分の都合を押し通すだけ。なんて幼稚な決意なんだろう。
でも、まあ……自分で言うのもアレだけど、悪くないんじゃないか?
この血まみれの腹の奥。据えられた覚悟は、確かに鋼鉄になっているから。
それに────
かすかな月明かりにも白く輝く、美しい肌に吸い寄せられるように。
オレはユーリの顔に、そっと自分のそれを近づける。
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