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「……幸せか……?」
人を殺して、幸せか?
殺して殺して殺し尽くして、このだだっ広い世界を空っぽにして、幸せか?
一人ぼっちで、幸せか?
「……」
答えはない。ドライアイスのような視線を、額の辺りに感じるだけだ。
目がかすんでいるせいで、表情もよく分からない。あの身の毛もよだつ無表情のままなのだろうか。
沈黙が破られるまで、辺りの木々が物悲しげにざわめく。
「不幸のどん底だ」
重々しい返答は、やはり揺るがない。
「幸せには、これからなる」
「……そうか」
あまり堂々と言われたモンだから、つい笑ってしまった。口角が上がるのが分かる。
何というか……分かっちまった。
(こいつは、もう……)
心が、終わっているんだ。
自分が"最悪"の状態にあると悟っているから、何を言われても変わらない。
生かすより殺す方が、大勢より空っぽの方が、みんなより一人の方が。何千倍も幸せだと確信している。その考えを固持している。
それじゃあ……止まらないよな。
幸せになるための道があって、歩いていく力があるなら……途中で立ち止まるなんてことは、普通しないよな。
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