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が、切っ先が入り口に入るより先に、タナトスが肉薄してきた。
数メートル向こうに鋭い剣尖が現れるが、一秒前に彼が移動したため、当然この突きは空振り。
突然の接近に、驚愕する暇も得られず、
「Assist・87【軛の豪雨】」
右京の体は、計五本の杭によって地面に串刺しにされた。
本来はダメージ皆無の補助呪文のはずだが、タナトスの神力の影響か、四肢と胴に激痛が走る。
「ぐ……!」
悲鳴は上げない。そんな無様な真似だけは、絶対にしたくなかった。
意地で喉を閉じる彼に、やはり死神は容赦しない。
「確かに、スパイルの限定空間は我々の中で最も広いが、それを利用する脳と思考は、あくまで一つだ。
『効果範囲を指定して神力を発動する』なら、攻撃が届く前に、その領域を脱してしまえばいい」
話しながら上げた足が、右京の頭を踏みつけ、冷たい大地に押しつける。
唯一残る右目は、地獄の業火さながらの視線を突き刺した。
「同胞の力だ……攻略法を知らないわけがあるまい」
「ッ……」
砕けてしまいそうなくらい強く、上下の歯を噛み締める。
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