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激情にあてられ、両目に劣らず真っ赤に染まる脳細胞は、どうすれば敵を八つ裂きにできるか、それだけを考える。
体は来たる攻撃に備えて魔力を帯び、覚悟と怒りに力んで震えた。
「……」
しかし、タナトスは動かない。言葉も漏らさず、右京の頭を踏んだまま固まっている。
見上げることのできない右京は、視線を感じても、彼の表情を知ることはできなかった。
どれほど、そうしていたか。
「……ふん」
忌々しげに鼻を鳴らしたタナトスは、足を上げ、完全に動きを封じた獲物に背を向けた。
そのまま歩み去りながら、呆気にとられつつ顔を上げる右京に言い放つ。
「死んだ虫けらに興味などない。そこで朽ちて骨になれ」
「誰が死んだって?」
再び額に青筋を浮かべる右京。彼の右手を貫く杭が、かすかに綻びを見せる。
「ふざけた口叩くならなぁ、最低限こっち見やがれ、腰抜けが!」
「腰抜けは貴様だろう」
沸騰していた頭が、急速に冷めた。
反対に、心臓は一気に鼓動を速め、体内でやかましく騒ぎ立てる。そのくせ口は静かに閉じるのだから不思議だ。
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