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「それに……大差ない」
静寂の短きは、答えが返ってこないことを悟ってか、ただの気まぐれか。
「そう遠くない未来、人は私の手で滅ぶ。今日死のうが明日死のうが、違いなどさほどあるまい」
言いながら、ようやく振り向いた顔は。
右目の視線一つで、世に蠢く全ての命を射殺してしまいそうな、凄絶な殺意に満ち溢れていた。
「貴様の世界の"終焉"……見届けてから死ね、腰抜け」
タナトスは害意と共に吐き捨て、黒一色の得物をしまいもせず、立ち去る。
右京の名は、尋ねなかった。
「……」
唇を引き結び、細い背を見えなくなるまで睨み、見えなくなったら頭を地面に横たえ、一息。
時を同じくして、黒く弾ける魔力体が五本、音を立てて崩れた。
が、右京は動かない。未だ拘束されているように、地面に頬を当てて硬直する。
木々が、慰めるように葉を揺する。
「……ちくしょう……」
毒づいた拍子に、冷えきった空気に乗って、土の味が舌を突いた。
人知れず、ぎこちなくも確かに回る歯車に、突き動かされるようにして。
運命は、動く────
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