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入口と出口を兼ねるドア。その最も近くの席に座るのは宍戸だ。
足を組み、目を閉じてうつむく彼には、いつもの高圧的な覇気がない。とにかく静かである。
彼より一歩こちらでは、慎士が椅子に座り、貧乏ゆすりしていた。
険しい顔ではあるが、苛立っているわけではなさそうだ。かといって、冷静さを保てているわけでもないが。
それまで右を見ていた顔を左に転じれば、残る女子二人が同時に視界に入る。隣り合った席に着く、桜田と葛西だ。
しきりに葛西の顔色を窺う桜田だが、本人は反応を返さない。
四人とも、冷静さを欠いている。こうして傍観者のように俯瞰する木宮もまた、どこか落ち着かない。
(……遅いな)
この場にいない、自分たちが待ち続ける人物のことを考えた、直後。
会議室の扉が開き、スーツをだらしなく羽織った男性が、頭を掻きながら現れた。
「右京サン──!」
「一服させろ」
立ち上がって詰め寄ろうとした慎士の言葉を遮り、彼──右京は議長席に腰かける。
懐を探る姿には、いつも以上に力がない。暗い色の髪もあらぬ方向に跳ね、疲労を如実に表していた。
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