静かな予兆

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それから何事も無く、太陽が一番高くなる頃にシャギュアの街の前に辿り着いた。 僕がそのまま入ろうとすると、門番に止められた。名前はブロンで旅人だと書類に書くと、街に入る許可が出た。街の案内所の場所を聞いておく。 役所の隣にある、屋台のような案内所に行く。僕は地図を借りて大体の街の地理を覚え、宿を探した。 見た中で一番安い宿を尋ねると、老いた主人が椅子に座っていた。主人は目を閉じ、何かと戦っているようだった。僕が声をかけると、彼は黙って机の上の宿帳を指差した。 僕は宿帳にザックとだけ書き、料金を机に置いた。主人は宿帳と僕を交互に見て、その後また本を読みはじめた。 僕は階段を上がり、奥さんと少し話して隅の一室に入った。部屋は机とベッドがあるだけのワンルームで、トイレが一つ付いている。 僕は机に荷物を置くと、すぐに宿を出た。奥さんは僕に声をかけ、主人はちらりと見ただけだった。 適当な飯屋に入り、一人前とだけ注文した。カウンターは10個程あったが、半分も埋まっていなかった。 僕の隣には、労働者といった風体の男が座っている。彼の手は、小さな刃物を握る為の物に見えた。そういう仕事をしているのだろう。出て来た食事を平らげ、飯屋を出た。隣に座っていた男と、ほぼ同時だった。
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