プロローグ

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雨が降っている。 それは豪雨に近く、視界が遮られる程であり、まるで濃霧の中の様である。 その濃霧の様な雨の中に微かに人影が倒れてるのが見える。 子供ぐらいの小さな体躯で、服とは言えない布きれの様なものに包まれていた。 その人影は動く体力もないぐらいに衰弱しており、意識が遠くなる中で力を振り絞って悲痛を叫んだが、衰弱や疲労もあり発せられたのは、弱々しく消えてしまいそうな声であった。 その叫びは雨音にかき消され、届かない叫びとなった。 人影は叫び終えた後、力を使い果たしたらしく、力無くその場に倒れた。 倒れるその瞬間まで、顔は悲しみを感じさせる表情をしていた… --同時にそれは、      憎悪の念を含むかの様な--
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