プロローグ

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       --いっぱいいっぱい、とおくへあるいた。もうだれにもめいわくをかけないところまできた。 わたしなんていなければいいと、みんながわたしをいじめた。 もうこんなおもいはいや、だからわたしはぜんぶをすててここまできた。 でも、かみさまはわたしにいじわるばかりする…さむい…おなかもすいた…もうからだがうごかない…わたしは…いきていたらだめなのかな……… 消え逝く意識の中、今までの記憶がフラッシュバックし、数々の悲しい思い出が蘇る その中でふと、ある人物の顔が思い浮かび上がった。 それは、唯一私を忌避しなかった人。 私を自分の子供の様な大切にしてくれた人 でも、その人はもう居ない ずっと独(ひと)りっきり… 涙が頬を伝う。 もう、生きられそうにない事を悟り、意識がなくなる最後までに、あの人にお礼が言いたいという想いで倒れながらも必死に言葉を発した。 「いままで…ありが…とう…」 言い切ると、同時にさっきまでの憎悪を含んだ悲しげな表情は安らかな表情になり、意識がなくなったのか、動かなくなった。
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