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ぶわ、と涙が溢れた。
慌ててドアを閉める。その乱暴な音で、俺たちとシェリーは完璧に隔たれたことを感じた。
「……あ、ああ……う」
唇を噛みしめても、震えて変な声が木霊した。
シェリーの笑った顔、シェリーの俺を呼ぶ声。
今引き返したら、そこにいるのに――
俺は振り払うように、ブンブンと勢い良く頭を振った。
涙も廊下に飛んだ。そこだけキラキラ光るのが、妙に視線を捉えた。
でも。
もう一緒に泥だらけになって遊んだシェリーはいない。
シェリービーン・ハンスン。
もう、俺たち孤児とは違うんだ。
その言葉が胸を刺す。
これから別々の人生を歩む。永遠に一緒にはいられないこと。そんなの、バカな俺だって分かってた。
それでも、思い出があるなら。
キラキラと輝く、少年時代。そこに彼女の笑顔があるなら。
そう思っていたのに。
誰より愛しいシェリービーンに、どうして忘れて欲しいだろうか。
それが、シェリーのため。
その事実が、一番悲しかった。
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