―12歳 扉の向こう―

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「泣いてればいいよ」 DJは言った。淡々と、子どもに諭すみたいに。 俺は悔しさで、ぎゅっと体が熱くなる。右肩がチリチリと焼けた。 「ふざけんなよ!」 「静かに!」 俺が叫ぶと、打ち消すようにDJが小声で言葉を飛ばした。 「もう行こう」 DJが廊下の伸びる右を顎で指す。 俺が同意しかねてると、ドアがガチャリと開いた。 俺たちは同時にプレイルームを見た。 半分以上、淡い期待で。 だけど、そこに現れたのはジョージ・ハンスンだった。俺たちを認めて、こっちへ歩いてきた。 ラフなのにきっちりシャツを着こなしていて、やってくるさまもキビキビしている。
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