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俺たちは荒々しい感情を一切忘れて、その紳士の動きを見ていた。
君たちも引き取ることにしたよ、だから3人ずっと一緒だ――そんな言葉を、ほとんど期待していた馬鹿な自分。
ハンスンさんは、俺たちの目の前に来ると、立ち止まって微笑んだ。
「君たちが、DJとアレックスだろう?」
「そうです」
DJが答えた。
「シェリーがよく話してくれた。家族より、もっともっと大事だって」
俺の目蓋が熱くなる。
俺だって、ずっとずっと大事に思っているんだ。
そう言いたい。
「俺たちは、あいつのこと、別にそこまで好きじゃないですから」
俺の気持ちとはウラハラに、DJはそう言った。
ハンスンさんは、おや、と眉を上げたあと、やっぱり微笑んだ。少し、悲しそうに。
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