―12歳 扉の向こう―

12/14
前へ
/242ページ
次へ
「君たちは……よっぽど大人だな。悲しみを堪えるのは、泣いて別れを告げるより辛かっただろう」 ぽん、と俺の頭に手を置いた。 この歳になって初めて、そんなことをされた。 ふいに、男の人らしい独特の苦い匂いがして、涙がボロボロと出て来た。 ハンスンさんはDJにもやろうとしたけど、DJは避けた。彼は苦笑して、肩を竦めた。 「君たちはいい青年になる」 「気休めや御為ごかしは要りません。俺たち、孤児ですよ。出生も定かじゃない、生まれついてのチンピラです」 「そう卑下するものじゃない」 ハンスンさんは少し厳しい声音で言った。 「シェリービーンには、二度と近づきませんから安心してください」 だけど、DJは淡々とそう宣言した。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加