―12歳 扉の向こう―

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その言葉に、どれだけの愛が籠もっていたのか。 ハンスンさんは分かったんだろう。 喉を詰まらせて、それからしっかりと頷いた。 「だから君たちも、幸せでいなさい。君たちが幸せじゃなかったら、きっとあの子も悲しむ」 くしゃ、と無理やり、今度こそDJも一緒に俺たち2人の頭を撫でて、悲しそうに笑った。 居心地の悪い温かさが、無性に切なかった。 そうして、ハンスンさんは僕らに背を向けた。シェリーの待つプレイルームへと歩いていく。 「アレックス」 DJが腕を引いた。 いや、もう少し―― 「アレックス、もう行くんだ」 もう少し、もう一回だけ―― 「アレックス!」 ――シェリーを見たい。 ハンスンさんが入る、その瞬間だけ開く扉から。 「決めただろ!」 DJは俺の腕を叩くと、そのまま歩き出す。 「DJ――」 「知るか」 DJは振り返らない。 俺は歩き出すが、それでも目はドアから離せなかった。 やがてハンスンさんはドアを開いた。見えたのは、パステルカラーの壁だけだった。
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