―12歳 扉の向こう―

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―サイド@DJ― 俺がプレイルームを出ると、シェリーの泣き声がわんわん響いた。 それが心のうちで響いているのか、本当に部屋から響いていたのかは分からない。だけど、それはわんわんと耳奥を揺らし続けた。 俺は足を交互に運びながら、人生がねじれる音を聞いていた。それは不思議と甘く、俺の心を焦がしていく。 ひとつだけ言えるのは、俺は絶望の淵にいたということ。 『嫌だよ……嫌だよ……!』 泣くシェリーの左肩に巻かれた、白い包帯。 『今回は指輪を狙われてしまったのじゃ。おぬしの大切な指輪が』 じいやの渡す指輪が、シェリーのかざした手とかぶる。 『綺麗だぁ……』 シェリーは泣いて微笑んでいた。俺の渡した指輪が、俺たちを裂くことになるなんて知らずに。 あんなにおびえていたのに。あっけないほど、他人になってしまった。 俺のせいで。 最愛の人間を、こんなにも傷つけて。弁解も謝罪も出来ない。きっと、一生。 『おぬしには、怪盗Gを継いでもらいたいと思っておる』 彼女に、シェリーに二度と関わることはないのだ。 それが分かるから。 一層やりきれなかった。
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