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目的を忘れて、俺はただ廊下の突き当たりに見えるプレイルームのドアを見ていた。
窓から差し込む日差しに埃が舞う。
悲しみはひどく静かで、綺麗だった。
ずっとずっとここにいて、シェリーを待っていたいくらい。
それでいて、早く立ち去りたいくらい。
誰かのことを思う苦しさは、静けさの中の波紋に似ている。
求める相手がいることの、甘い苦しさ。
それはきっと、恋の痛みだったんだろうと思う。
それが至福の痛みということに、俺は気付いていなかった。
柔らかい笑顔、苛立って仕方ない泣き声。
文句を言えば、言い返してくる。
その強気な瞳で、何度も、何度でも――
首からかけた指輪を、服の上からぎゅうと掴んだ。
小さく息を吐く。
ここにいたら、意味はないんだ。
もう立ち上がろうとした時。
ドアが、突然開いた。
内心待っていた、そのドアが。
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