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ここにはいない彼女に語るように。
華音は話し続けた。
「凜音がこれだけ厚着させた意味も分かる気がします」
浴衣の下の下着には、カイロが2枚背中とお腹に貼られて上から腹巻き。
下半身は分厚い足首までのレギンス。
足袋だけの足先は当に感覚が失せている。
帰ったら足湯で温めようと言っていたのを思い出した。
「心配性なんですから…」
アンドロイドである自分に、風邪を引かないよう、そして女の子は体を冷やしてはいけないとたっぷり防寒対策をしてくれた。
「でも、冬は確かクリスマスってお祭りがあるし、凜音の誕生日もあるし、寒いけど楽しいんですよね」
誕生日はどんなお祝いをしよう。
今から心が躍る。
「ケーキを焼いて…ご馳走は…」
再び箒を動かしながら、一人でぶつぶつと誕生日の計画を練る。
不意に、神主の飢え過ぎさんの声が響いた。
「華音ちゃん、外はそのくらいでいいからこっち手伝って~」
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