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「別に、このくらい構わないよ。
ただ、ケアはちゃんと自分でやってね」
「うんっ♪」
返事をした後で、ふと思い出したように私は告げた。
「羽音の手、冷たいんだね。」
「そう?」
間髪入れずに返す彼女の、明朗快活なところが私は特に好きだ。
「うん。耳たぶに触ったとき、ヒヤッてしたから。」
手鏡を下ろして捕まえた彼女の手を、両手で包み込んだ。
「知ってる?手が冷たい人はね、心があったかい人なんだって」
目を合わせて微笑むと、微かに照れて顔を反らす。
彼女が愛しかった。
「私はマイロイドだよ、人じゃない」
「きっと一緒だよ」
辛そうに眉を寄せる羽音の額に、そっとキスを落とした。
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