華音

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そこは、とても暗い場所だった。 そこには、沢山の少女たちが横たわっていた。 でも、少女たちは動かない。 動いているのは、自分だけ。 「・・・・・・・・・?」 ここはどこだろう。 彼女はゆっくりと立ち上がり、壁に沿って歩いてみた。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 ペタペタ。 裸足の足音だけが響く。 ペタペタ。ペタペタ。 歩き続けて、不意に、そこの突き当たりにさしかかる。 手のひらでさわり、押してみる。 ぎぃぃと軋んで開いた扉の先の空間は、光にあふれていて。 彼女は思わず目をふさいだ。 「あれっ、おっかしーな。」 真っ先に耳に届いたのは、金色の髪をした白い服の人の声。 ハカセだ、誰に聞くでもなく、彼女はそう思った。 「ハカセ、あの子は?」 隣にいた女の人が口を開く。 知らない人だ。誰だろう。
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