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ウィン 小さな機械音を立て、ビルのドアが開く。 一分一秒が惜しいと、私は受け付けカウンターに駆け寄る。 「いらっしゃいませ、今日はどうしました?」 赤いツインテールが可愛らしい、私と同じくらいだろう女の子が座っていた。 こんなに若い子も働くんだな…、そんなことを思いながら、早鐘を打つ心臓を宥める。 駅からひたすら走ってきたからな…。 「っ、あの、私、これ…」 暫くして収まって来たことを確認し、私は女の子に鞄から引っ張り出した封筒を差し出す。 「あぁ、モニターに応募したんですか?合格したなら後日ハカセがお届けに…」 「違います、」 思わず話すのを遮り、私は封筒の中を示した。 「応募して、封筒届いたんですけど…、中の通知がなくて…」 途端、女の子の表情がひきつる。 「まさか、ハカセ…。 ちょ、ちょっと確認してくるから、待ってて下さいね~。 サラちゃ~んっ」 パタパタと駆けていく女の子を見送って、私は小さく息を吐く。 どうやら思った以上に緊張していたらしい。 余裕が出来たもののすることもなく、ぐるりと周囲を見渡してみた。 大きなビルだな…。 エントランスは沢山の人で溢れかえり、賑やかな話し声が響いて。 高い天井に、ガラスから差し込む夕日が反射して、少し眩しい。 ゆったりとしたソファーは座り心地が良さそうで、奥のカウンターで作っているのだろう、コーヒーを飲む白衣の人が目立つ。 多分、研究者かな。 ついと視線を滑らせる。 あ、あの私服の男の人が連れてる女の子…もしかして。 「おぉ~いっ」 そこで私の思考は中断され、息を切らして駆けてきた先程の女の子に手を引かれる。 「ハカセに確認してきたよ、こっちこっち」 くいくいと腕を引く女の子に、私は慌てて向きを変えてついていった。
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