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「僕が不思議ですか?」
「へっ?あ、いや……すみません」
ジーッと見ていたのがばれていたらしく、それでも嫌な顔一つせず、微笑まれた。
ここで謝ったら本当に不思議に思ってるみたいじゃん……まあ不思議な人だけど。
髪を拭くついでに掛けていた眼鏡も拭く。
初めて眼鏡を掛けた時、目立つのがどうしても嫌で、なるべく目立たない物を……と言って縁無しにしてもらった眼鏡。
ボーッとしていると足音が聞こえて、慌てて眼鏡をかけ直した。
しかし店員さんは私に近付いたわけではなく、そのままテーブルを通り過ぎ、綺麗に磨かれた窓を幾つか開けた。
戻ってくる時に目が合い
「風を通した方が、早く乾くでしょうから」
そうして反対側の窓を開けにいった。
両側を開けると風通しがよくなり、ふわりと風が入って私の湿った髪を撫でた。
背中まで伸びた重たいロング。
真っ黒だから余計重たいというか見た目暗い。
髪が短ければすぐ乾くのに……なんて思ったけど、切るつもりはないんだから、どうしようもない。
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