厄介事

4/12
前へ
/51ページ
次へ
「その格好のせいじゃないかな?」 「ああ…納得」 璃玖は自分に当てられた視線の理由が分かると、頭の中にあったと思われるモヤモヤが晴れ、視線を気にするのをやめた。 「とりあえず、早く会計済ませちゃおうか。その後服を隠せるマント買ってあげる」 「別にそこまで…してもらう必要ないよ」 「多分ずっと視線を集める事になるよ?」 「むぅ…」 璃玖は見られる事には抵抗は全くないが、ずっと見られるのは多少気分が悪いらしく、マントを買ってもらうかどうか悩む。そして、結論を出した。 「じゃあ…お願い」 「うん、分かった。じゃあ先外で待ってて」 「…分かった」 「さて…うわ、何この列…タイミング悪」 セルスは璃玖に外で待っててもらうように言うと、会計を済ませに行った。しかし、何故か会計が込んでいて時間がかかりそうだった。 「…遅い」 外で待っている璃玖は、あまりにセルスが出て来るのが遅かったため、中に様子を見に行こうとした。すると、店から慌てた様子で鞄を抱えた男が出て来た。 璃玖と男は、出会い頭にぶつかってしまい、璃玖は転んだ。 「…むぅ」 「あ、ああごめんよ嬢ちゃん」 男は璃玖を立たせ、軽く謝るとそそくさとその場を立ち去った。その後すぐに、今度はセルスが慌てたように出て来た。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加