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海斗に言われ、この一週間を頭に思い浮かべた。
そうだ。
確かに、色々な事をたくさんたくさん考えた。
海斗の事。
子供達の事。
両親や親戚、友人の事。
これからの生き方や、伝えたい大切な事。
そして、その全員がどれ程自分にとって大切なものかという事。
生への執着が自分の中にも確かにあり、死にたくないと心から思った。
きっとその全ては、今回の勘違いがなければ気づけなかった事なんだろう。
そう考えたら、勘違いで海斗を悲しませたのはいけない事だけど…この一週間は決して無駄ではなかったと思える。
いや…無駄ではなかった、というより…この一週間もかけがえのない大切な時間だった。
全てを見つめ直す、素晴らしい時間だった。
今ならそう言い切れる。
「そうね…悲しくて辛くて、でも…良い一週間だったわ。」
そう言って微笑むと、海斗が手紙を胸ポケットにしまい、私の肩を抱き寄せた。
「…ああ。」
海斗の声がとても柔らかくて…私はそのまま瞳を伏せる。
少し眠りたかった。
ずっと、不安できちんと眠れていなかったから。
私が一番安心できるこの腕の中で、今はただ安らかに…。
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