現実となる不安

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診察を受けられたのは、受付してから2時間も経ってからだった。 待ち時間の間に更に悪化した体を無理矢理立たせインフルエンザの検査をしてもらい、更にお腹の事もお医者様に相談してみる。 すると一瞬難しい顔をしてから、まだ若いお医者様が私を安心させるような笑みで言った。 「念のため、レントゲンとCTを撮りましょう。念のためですから、そんなに不安な顔をしないで下さい。きっと大丈夫です。」 「…はい…。」 お医者様が一瞬見せた難しい顔。 その顔がチラつき、不安な気持ちは増幅していく。 レントゲンとCTを撮り終えたかと思えば、次は風邪の治療の為の注射と点滴。 インフルエンザではなかったらしく、風邪と疲れだろうと言われた。 点滴を打たれている間も、レントゲンやCTの結果が気になって仕方ない。 撮る前に、CTの方の結果が一週間後に分かると言われたので、今日は薬だけをもらって帰る事になっていた。 「はい、点滴終わりましたよ~。お疲れ様でした、お大事に!」 元気な看護士に言われ、病院の廊下をノロノロと歩く。 すると、CTの撮影室の前で、先程私のCTを撮ってくれた技師の人達がなにやら話し込んでいるのに気付いた。
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