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ベッドに横になり、どのくらい天井を眺めていたのか。
段々と頭が追いついてきた。
子宮癌。
余命半年。
そうだ。
これは、私の事だ。
私は死ぬんだ。
あと半年で、私は死ぬ。
全ての大切なものを残して、私は……。
「っ……」
体がガタガタと大きく震え出した。
理解した途端、とてつもない恐怖が私を襲う。
死ぬって…何?
死んだらどうなってしまうの?
死ぬ前は?
死ぬ時は痛い?苦しい?
私は…本当に死ぬの?
「…や…嫌っ…嫌だっ…」
掠れた声が喉から漏れる。
体を丸め、ガタガタと震える体をおさめようと呼吸を繰返した。
しかしどんなに呼吸をしても苦しさは激しさを増す。
「だ、誰かっ…誰か助け…お願い誰かっ!手を…手を握ってっ…!!」
狂ったように涙が出た。
不安と恐怖が波のように私を飲み込んでいく。
冷えきった手を内線電話に伸ばそうとするのに、伸ばしても伸ばしても届かない。
そして絶望にも似た感情に叫びそうになった瞬間。
何かが私の手を包み込んだ。
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