発熱

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「……38度か…。」 冬の朝日が眩しく差し込む寝室。 ベッドに横たわる私の髪を撫で、体温計片手に海斗が呟く。 「ごめんなさい…風邪なんて…。」 「謝る事じゃないだろう。生きていれば風邪くらいひくさ。年末年始色々気苦労も多かったしな…良い機会だ。ゆっくり休みなさい。」 年末年始の浮気騒ぎに責任を感じているのか、海斗が不安そうに眉を寄せた。 「…胃が痛いとかはないのか?医者に診せた方が…。」 「クスッ。大袈裟だよ。寝てれば治っちゃうから大丈夫!!」 ガッツポーズを作って笑うと、海斗が苦笑を溢す。 そして私の手に触れ、指に自らの指を絡ませた。 「…手が熱いな。」 「海斗の手は冷たくて気持ち良い…。」 そう言って、海斗の手を引き寄せ頬を寄せる。 冷たい感触に安堵しつつ、私はそっと壁にかかった時計を窺い見た。 海斗はもう仕事に行く時間だ。 だけど、私は海斗と離れるのが不安で仕方なかった。 「さあ、もう仕事に行かなくちゃ。」と一言言えば良いのに、その一言が言えない。 言えないのは、自分の中に渦巻く不安があったからだった。
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