発熱

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―4日前― 「海斗、今日はお家でお仕事なの?」 平日の朝。 出勤時間が近づいても海斗がスーツに着替えないので、私はワクワクしながら聞いてみた。 海斗は私が喜んでるのが分かるらしく、微笑んで私を見下ろす。 「ああ。今日は大事な会議もない。たまには家でゆっくりと仕事をしても安田には小うるさく言われないだろうしな。」 安田さんというのは海斗の秘書で、超絶な美人の元男性だ。 海斗が家に居るというのが嬉しくて、つい顔がニヤけてしまう。 書斎に移りノートパソコンを開いた海斗にいそいそと近寄り、後ろから首に腕を回した。 「…もうすぐバレンタインだよ、海斗。」 「もうすぐ?まだ一週間以上あるだろう。」 不思議そうに言い、海斗の手がパソコンのキーボードを叩き始める。 「男性にはそうかもしれないけど、女性はもっともっと前から準備してるの。ねぇ、何かリクエストはある?」 仕事の邪魔をしていると分かっていても、とりあえずリクエストを聞かないと準備が出来ない。 ……聞いても無駄だとは分かっているのだが。 海斗は毎年同じ答えしかくれないのだ。 「…甘い物は苦手だ。遊里にリボンを付けてプレゼントしてくれ。」 でた。 お決まりのセリフ……。
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