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「え!?じゃあ、お父さん達に話したの?」
リビングに場所を移し、お兄ちゃんが訪ねて来た理由を聞いてびっくりした。
お兄ちゃんの恋人について私と二人で話したのはつい先日だったのに、どうやら両親との話し合いはもう済んだらしい。
「ああ。最初は二人共困惑してたんだけど…今度恋人を連れておいで、と言ってくれた。」
お兄ちゃんのにこやかな表情にホッと息をつく。
「もちろん、世間的にはまだまだ偏見は強いし…法的にも認められる関係じゃないけど、大切な人だから、しっかり守っていくつもりだよ。」
「…良かった…。良かったね、お兄ちゃん。」
目をウルウルさせながら言ったら、お兄ちゃんが私の頭を優しく撫でた。
その手は小さな頃よりうんと大きいけど、温かさはちっとも変わらない。
「お前のおかげだ。…本当にありがとう。」
ううん、と言いたいのにそれ以上は言葉にならなかった。
良かった。
思い切ってお兄ちゃんと話して、本当に良かった。
でも…お兄ちゃんのこんな笑顔が見られるなら、もっともっと早くに話しておけばよかったかな。
泣き出してしまった私の頭を撫で、お兄ちゃんはずーっと「遊里」と名前を呼んでくれた。
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