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「じゃあ、また電話するよ。体気を付けるんだよ。」
「うん、お兄ちゃんもね。気を付けて帰ってね!」
門までお兄ちゃんを見送り、家に戻ろうとした時。
ふっと、視界に見慣れた車が映った。
え……?
門の外に停められたその車は海斗のものだ。
しかし運転席に人影はない。
…帰ってきてたの?
でも茜さん達は何も言ってなかったのに…。
慌てて家の中に戻り、茜さんに尋ねてみた。
「ええ、20分程前に帰って来られました。遊里様がお兄様と込み入った話しをしてらっしゃるようですと申しましたら、では今はリビングに行ってはまずいな、と言ってとりあえず書斎に行くと…」
「……………え…?しょ…書斎……?」
茜さんの言葉にサッと血の気が引く。
書斎には…手紙があのままにしてある。
お兄ちゃんが来てるって分かって慌てて書斎を出たから。
今…今読まれてしまったら!!
「奥様!?」
茜さんの声を無視し、全速力で書斎へと走った。
海斗に自分の口から話す前に、遺言で病気の事を知られるなんて…。
それだけはダメ!!
絶対に…絶対にダメ!!
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