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ポタポタと、デスクの上に雫が落ちる。
声も出さず、息も乱さず。
目を開いたまま海斗は涙を流していた。
まるで心がぽっかり抜け落ちたように、その顔に感情はない。
もしかしたら、海斗自身も泣いている事に気付いていないのではないかとすら思えた。
「海斗…海斗ごめんなさいっ…ごめ…うっ…」
その涙を見た途端、私の目からも一気に涙が零れ落ちる。
震える手で海斗の背中に触れると、海斗が譫言のように呟いた。
「……俺は…お前を永遠に失うのか…?」
「っ…!」
「…遊里が、死ぬ…?」
自分自身に言い聞かせるような小さな声。
それでも近くにいる私には確かに聞こえる。
「嘘だろう…」
そう言うと、突然海斗が俯いていた顔を起こし私を見上げた。
強く腕を掴まれ、涙に濡れた瞳が私を探るように射抜く。
「…何かの、冗談なんだろう遊里。」
「海斗っ…」
「そうなんだろう?」
「かい…とぉ…」
「冗談だと言え!!」
ビクッ。
急に怒鳴られ、私の肩が跳ねた。
それにハッと目を見開き、海斗が立ち上がり私を抱きしめる。
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