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帰りの車内で、私達は手を握り合い脱力していた。
それもそのはずだ。
朝から緊張しっ放しな上。
海斗は先ほどまで私を叱っていて、私も叱られて…すっかり疲れ果てていたのだから。
診断結果は、『虫垂炎』だった。
言われた時は思わず聞き返し、技師の話しを聞いた事も説明したが…。
どうやらそれは別人の話しだったらしい。
偶然にも違う会社の社長夫人が救急で運ばれ、私の後にCTを撮ったと先生が説明してくれた。
幸いにも虫垂炎の程度は最悪な所までいってはいないので、手術で治るだろうと言われた。
しかし放っておいたらやはり危険な病気なので、早く来てくれれば、と先生にやんわりと叱られてしまった。
そして手術のための準備をしようと一時帰宅する事になり車内に入った途端。
案の定海斗に叱られる事になる。
「何故技師にきちんと確認しなかったんだ」
「きちんと診断結果が出ていなかったなんて…どれだけ心配したと思ってるんだ!」
どれもこれもごもっともなお叱りで、返す言葉もなかった。
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