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本当に恥ずかしい。
というか自分で自分を殴ってやりたい。
勘違いで散々心配をかけ、海斗を泣かせてしまった。
海斗の不安や悲しみを考えたら殴るくらいでは済まないだろうけれど…。
『生きていられるんだ』
という安堵と。
『どうしよう…』
という困惑と。
感情が複雑に絡まって私自身も頭が追いついていかない。
悶々と考えていたら、隣で海斗が肩を揺らし笑い出した。
「か、海斗?」
あまりの出来事に狂ってしまったのだろうか。
声を上げ、お腹を抱えて笑っている。
声をかけても笑いが止まらないらしいので、心配になりつつ待っていたら…。
笑いがおさまった海斗に突然抱きしめられた。
「本当に…お前はそそっかしいな。」
まだ笑いの余韻を残した声が囁く。
「ごめんなさい…どうやって謝ったら良いか分からないわ…。」
「謝らなくて良い。…お前が死なないなら、それで良い。」
「海斗……」
「本当に良かった…。」
海斗の感情のこもった声に、涙が出た。
自分の馬鹿さと、海斗の愛の深さを思い知った気がして。
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