診断結果

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「海斗をたくさん不安にさせたわ…。」 今泣くのは卑怯な気がして、涙をこらえ再び謝ろうと海斗の瞳を真っ直ぐに見る。 しかし、海斗は私の背中をポンポンと叩くと、優しい声色で私を宥めた。 「今回は…お前が技師達の話しをして勘違いしたのも仕方ないだろう。状況が状況だった。…それに、違う病気でも病気には違いない。これ以上酷くなる前に発見出来たんだ、それで良いだろう。」 「でも…」 「良い機会にもなった。」 え…? 海斗が微笑みながら言う。 きょとんとして瞬きをすると、海斗がスーツの裏ポケットから何かを取り出した。 「それ…!」 海斗の手に握られているのは私が書いた手紙だ。 驚く私にクスッと笑い、海斗が手紙を開く。 「…いつかは、どちらかが死ぬ。おそらく、同時に死ぬ事はないだろう。…俺はずっと…遊里が先に死んだら生きて行けない、きっと後を追う、そう思っていた。しかし…この手紙を読んで気付いた。」 手紙の文字を、海斗の指がそっとなぞった。 愛しそうに、そしてどこか切なそうに。
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