出会い

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「ふぅ…」 馬車に揺られ 窓から夜空を見上げる 青い 綺麗な三日月 (さすがに今日は疲れてしまったわね…) 他国と貿易盛んな港町ネルディア 魔法王国セルシアとは隣同士とあり 友好的な関係を気付いている 今日は 挨拶も兼ねてネルディアの重鎮と対談をして来た 朝からは 予定が立て込んでいたため 疲れてしまった 「早く城に戻って 休みたいものね…」 馬車は 港町から林道へと入る 盗賊が出るという 夜はあまり治安に良くない道 しかし 盗賊も最近は大人しい限りだ これと言って事件を起こしたりしない だから 私は馬車に揺られついうとうとしてしまう 「…!?」 馬のいななきと何かが刺さるような鈍い音 大きな衝撃と共に馬車が止まる 不安に駆られ カーテンを開け窓から外を見回す すると 林道脇の茂みには 弓やナイフを持った 柄の悪い男達が集団でいた (盗賊? まさか… 本当に出るなんて…) きっと 馬と 運転手も弓で仕留められたのだろう 男達はジリジリと馬車に寄ってくる 男の一人が乱暴に馬車の扉を開け 私を馬車から引きずり下ろす 「……!」 下卑た笑みを浮かべる男 「へへへ こんな時間に護衛も付けずにご苦労なこって」 男に押し倒されるような形になる私 「離しなさい! 無礼者!」 私は 恐怖心を隠し叫ぶ すると 私の顔のすぐ右頬すれすれに ナイフが刺さる 「おいおい 気丈な姫様だなぁ 王国のお飾りがよ」 「なっ…!」 「温室育ちの姫様にゃ 世間のキビしさって奴を教えてやるよ」 ナイフを抜き 私のドレスの胸元を引き裂く 腕を他の男に押さえ付けられ 抵抗らしい抵抗も出来ない 「おい 急げよ 次は俺達の番だからな」 「わーったよ たくっ」 男達が そんな会話をしている 恐怖で 声が掠れる 「…ぁあ あ…」 涙で視界が滲む (い… いや…!)
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