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―夢を見ていた。
ボクはただ闇の中に立っていた。
何も見えない……
ただ全てを飲み込む[黒]の中に
―ねぇ、貴方は飛べるの?―
ボクの中に聞こえる声。ボクに問いかける声。
答えることができないままボクの意識は遠のいていった―
暖かな光。青い空。小鳥のさえずりに少女は目を覚ました。
「っあぁ、もう朝か」
軽く背伸びをし、そう呟くと、少女は身支度を始める。
ウィン=ルブラン、それが少女の名前。
身長は130センチ前後のとても小柄な少女。
――ウルガルド……どんな学校なのかな……
少女は背中にある翼を撫でた。
生まれたときからあったらしい背中のその翼は、成長するとともに大きくなった。
純白で凛としたその翼はとても美しかった。
例えるならば天使の翼と言えば、想像もしやすいだろうか。
しかし、実際はそんなにいい印象は持たれていないみたいだけど……
夢で聞かれた質問を思い出す。
“―貴方は飛べるの?―”
こたえきれなかった言葉……そして今もこたえられる自信はない。
ただ分かるのは、きっと飛ぶこと自体はできる。
でも、飛んだりしたら……
また避けられる原因になること。
今までだって、この翼のせいで周りの人に「魔物の仔」って避けられ続けた。
「さてと……そろそろ行かなくちゃ」
少女は緑色の長い髪を同じ色のひもでポニーテイルに結んで立ち上がり、制服代わりのローブをはおった。
今日は、騎士育成校・ウルガルドの入学式だ。
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