トモダチ

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「下の名前で呼びなさいよ!」 「うっさい!帰るぞ!」 「ぶ~~~」 オレはブラックコーヒーを一気に飲みきり 缶をゴミ箱に投げ入れて 公園をあとにした その後ろを 上田は少し不機嫌そうに着いて来ていた... 帰路は上田の家の前を 通るため 上田はそれまで ずっとオレの名前を何度も繰り返していた... しかも、下の名前で... オレは必死に聞き流した そして 断抹魔の様に人の名前を 繰り返し呼ぶ その犯人を家まで送り届けたが 家の中に入るまで ずっと続けていた... 少し 尊敬の念が生まれそうだ... でも なんであんな必死に オレに下の名前で呼ばせようとしてるのか...? オレにはわからなかった オレは別に『あかり』と 呼ぶのが嫌な訳ではない... 気分の問題だった オレの中では 下の名前で呼び合える男女は "親友"ではまだ無理... "恋人同士"だけ と勝手な考えがあった 勝手であるのは オレもちゃんと理解している でも、 何故か呼ぶ気にはなれなかった 何故なのかは 自分の事なのに まったく検討がつかない いくら考えても 理由なんか一つも浮かばない
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